生活防衛資金はいくら確保する?その預け先は銀行がおすすめ
2024年から新NISA制度が始まるなど、世の中はより一層資産運用の機運が高まっています。
自分の預貯金でいかに利回りの高い商品を買うかに意識が向いている人も多いことでしょう。しかし、ちょっと待ってください。
投資を安全に行うためには、しっかりと生活防衛資金を確保しておくことが重要です。
この記事では生活防衛資金とその預け先について解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
生活防衛資金とは?
資産運用は将来の生活をより豊かにするために行うものですが、まず大切なのは現在の生活を維持することです。
そのため、資産運用に資金を投じる前に、生活していくうえで最低限必要な資金、ケガや病気、予期しない大きな出費などに備えるための資金を確保しておく必要があります。
これらを「生活防衛資金」といいます。
生活防衛資金は、安全かつすぐに使える状態で、月の生活費の少なくとも3ヶ月分~半年分は確保しておくことが望ましいと言われています。
つまり、毎月30万円で生活している人であれば90万円から180万円程度はリスクのある運用はせずに置いておく必要があります。
それでは、こうした生活防衛資金の預け先はどこを選んだらよいのでしょうか。
一般的には、銀行や国債が挙げられます。特に銀行の普通預金はもっともベーシックなであり、最も確実な預け先と言えるでしょう。
その理由を順に説明していきます。
銀行の預金は国に守られている
資産運用と聞くと、銀行にお金を預けていても大した利息が付かないため、株式や投資信託等に資金を回して運用することこそが賢い選択であると考える人が少なくありません。
しかし、銀行預金は国の制度によって一定金額まで保護されている安全性が高い資産であり、資産運用においても重要な役割を担うことができます。
まずは、銀行預金を保護している預金保険制度について見ていきましょう。
預金保険制度とは
預金保険制度とは、万が一お金を預けている金融機関が破綻してしまっても、預金者が金融機関に預けたお金の一定金額までは保護される仕組みです。
現行の制度は、平成17年4月から開始されました。
制度の運営は預金保険法に基づいて設立された預金保険機構が行っています。
預金を取り扱う加盟金融機関から徴収する保険料を原資として、加盟金融機関が破綻した際に預金者の預金を保護するための資金として充てていますので、預金者が直接保険料を支払う必要はありません。
つまり、銀行預金には無料の保険がついていると考えるとイメージしやすいでしょう。
預金保険制度と元本保証との違い
預金保険制度と元本保証は意味合いが似てるように思われますが、少し異なります。
預金で例えると、預金における元本保証はあくまでも銀行が保証しているにすぎないため、お金を預けている銀行が破綻してしまった場合についてまでは保証されていません。
一方で預金保険制度は、銀行が破綻した場合に預金保険機構が預金者の預金を一定金額まで保護してくれます。
銀行が正常に運営されている場合は元本保証が有効であり、銀行自体が破綻してしまった場合は預金保険制度により保護されるという、二重のセーフティーネットとなっているのです。
預金保険制度で守られる範囲
保護される対象となる預金の種類が定められています。
決済用資金としての当座預金や利息の付かない普通預金は全額保護され、定期預金や利息の付く普通預金などは、預金者1人あたり元本が1,000万円までとその利息等が保護されます。
1,000万円を超える部分については、破綻した金融機関の財産の状況に応じて、場合によっては一部返還されないケースがあります。
また、外貨預金や譲渡性預金、金融債等は保護の対象外です。
ひとつの銀行に複数口座を持っている場合でも、名寄せ(合算)されて判別されるため、例えば普通預金と定期預金に600万円ずつ、合わせて1,200万円保有していても、保証される元本は1,000万円までという仕組みです。
つまり、預金保険制度だけで考えた場合、1つの銀行に2,000万円預けるよりも2つの銀行に1,000万円ずつ預けた方が、より安全な状態になるといえます。
損をしない資産運用の選択肢
より高いリターンを追い求めることができる資産運用方法が近年は注目されがちですが、資産を損をしない方法で運用する手段も抑えておく必要があります。
ここではいくつか安全性の高い運用方法をご紹介します。
銀行普通預金
普通預金とは、最も一般的な預金です。
銀行の窓口だけでなく、金融機関やコンビニのATMなどで自由にお金を出し入れすることができ、給与が振り込まれたり、公共料金が引落されたりと日常生活で欠かせない預金です。
2023年11月現在、ほとんどの大手銀行が普通預金の金利を0.001%程度に設定しています。
一方で一部の銀行では戦略的に高い普通預金利率を設定しているところもあり、あおぞら銀行BANK支店の場合は普通預金の金利が0.2%に設定されています。
預ける銀行が違うだけで、200倍も差がでるというのが現状なのです。
決して大きな利回りではありませんが、資産を安全な状態に保護しながら利息収入も得られるため、銀行選びも資産運用の大きなポイントと言えるでしょう。
もちろん、預金利息の高い銀行が使いやすい銀行とは限りません。
自分のニーズにあわせて、普段の生活決済口座と、資産運用の口座は別々の観点で銀行を選ぶのも良いでしょう。
銀行定期預金
定期預金も普通預金と同じ預金ですが、普通預金はいつでも自由にお金を出し入れできる一方で、定期預金は指定した期間は中途解約手続きをしないと引き出すことができません。
普通預金に比べて流動性はやや落ちますが、その分金利は普通預金よりも高い傾向にあります。
現在金利は年利で0.01%程度~0.4%程度の水準です。
普通預金より高い利回りが期待できる場合もありますが、最近は戦略的に普通預金の利率を高めている銀行がいくつもあります。
預金利率が低い銀行の定期預金よりも、預金利率が高い銀行の普通預金の方が断然利回りが良いという状況が多くありますので、定期預金を預ける際は本当に金利的なメリットがあるのか注意するようにしましょう。
なお、あおぞら銀行では5年定期の金利が0.4%に設定されています。(2023年11月現在)
個人向け国債
国が発行する債券で、個人でも購入できるものを個人向け国債といいます。
預金保険制度の対象外ですがが、国が発行しているため極めて安全性が高い運用方法と考えられています。
仮に元本が割れるということがあるとすれば、それは国の財政が危機的状況であることを意味しますが、現実的にはなかなか想定しにくい事態と言えるでしょう。
利率については、年率0.05%が最低保証されており、現在は10年国債が変動金利で表面利率0.6%、5年国債が固定金利で表面利率0.42%という水準です。
適用される利率は半年ごとに見直されます。
リスクの高い資産運用の選択肢
預金や国債など、安全性の高い資産運用方法とは対照的に、リスクの高い資産運用方法もあります。
これらは生活防衛資金を確保したうえで、余剰資金で行うことが好ましいでしょう。
ここでは代表的な株式投資と不動産投資を紹介します。
株式投資
株式投資は、株式市場で企業の株を購入して投資することで、企業の経営に関わる議決権を取得することができます。
また、株式を売買することで売却益を、保有することで配当金など利益を享受できる投資方法です。
元本保証はないため、株式を購入した企業の業績や、世の中の景気動向によって株価が急落するなど損失を被るリスクがあります。
不動産投資
不動産投資とは、マンションやアパート、戸建住宅の空き家など不動産を購入して運用することで利益を得る投資方法です。
銀行から資金を借入して不動産を購入することで少ない手元資金で大きな資産に投資をすることができるほか、安定して家賃収入を得ることができれば、心強い副収入としての柱となります。
一方で、投資した不動産の空き家である期間が長引いたり、入居者が家賃を滞納することでトラブルが発生したりするリスクもあります。
流動性も預金や株式よりも低いことから、初心者が安易に多額の資金を投入して手を出すと大きな損失を被るリスクがあります。
まとめ:生活防衛資金も安全に運用できる
いかがでしたでしょうか。
生活防衛資金は決して小さい金額ではありません。少しでも儲けたいという気持ちから、生活防衛資金もリスク性資産に投資したいと思う人もいることでしょう。
しかし、投資のために普段の生活が不安定になってしまっては元も子もありません。
生活防衛資金はしっかりと安全な資産として確保しつつ、預金金利の高い銀行選びや国債などを織り交ぜることで、少しでも利回り得る工夫をすることができます。
生活防衛資金を安全に「運用」することにも、ぜひ意識を向けてみてはいかがでしょうか。
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